移住のススメ

日系企業にてインドネシア駐在中の30代男です。本業の傍ら細々と個人でも商売やってます。インドネシアでの生活を発信しています。インドネシア、住めば都でいいところ。

一石四鳥以上。

インドネシアの来年度賃上げのパーセンテージが決まったようですね。

今回はコロナ禍で多くの企業が業績に影響が出ています。

 

国家間移動がほぼ不可能となったことで

航空業界は大変な状況であることは周知の事実ですし

観光で外貨を稼ぐような地域では

ホテルやその他娯楽施設などが閉鎖されるなど

そういった業界で働かれている方たちにおいては

直接的な影響が出ています。

 

今回のコロナ禍によって

悪影響の出ていない業界の方が少ないような有様で

インドネシア政府もそのあたりを考慮したのか

10月時点では多くの州で2021年度分の最低賃金は

据え置きとするなどの報道がされていました。

私の住む西ジャワ州も最低賃金据え置きの方針を取っていました。

個人的にも一安心かなと思っていたのも束の間、

州内の県・市別の最低賃金が先日発表されたのですが

その数字なんと6.51%の上昇とのこと。

 

結局賃上げすんのかい。

この上昇率だとチカラン近辺の会社だと

一人当たり概ねRp. 290,000(約2,100円)前後のベースアップ。

こんな状況で賃上げするとか、どっからその金持ってこれるとお思いで?

ジャングルの奥地に本当の意味で“金の生る木”があるのかも?

ただでさえ撤退する外国企業増えているのに

一度上がった最低賃金って下げることは難しいだろうから

ここは一旦様子見でもよかったのではと思う。

 

外国人でなおかつ経営側というポジションで働いている多くの日本人はこう思うでしょうけど

インドネシアからするとこれが自身の国で商売をさせる条件なわけですもんね。

それにインドネシアには国内企業だって星の数あるわけで

決して外国企業にのみ課す条件というわけでもない。

 

最近可決されジョコウィ大統領も署名したオムニバス法も

外資誘致法などと呼ばれていてインドネシアへの外国投資の

門戸を広げようとしています。

そんな中で今回のような賃上げがされると、

国としてやりたい事の方針がぶれている

と思う人もいるかもしれません。

 

ただ私が思うのは

やっぱりインドネシアはジャワ島、特にジャカルタも位置する

西ジャワ州近辺の一強状態を何とかしたいんだろうということです。

知っての通りインドネシアは群島国家で

島によって教育格差やら経済格差やらものすごいそうです。

もっとも発展していると言われているジャワ島内だけで見ても

地域によってその賃金は大きく異なります。

さらに言うと、西ジャワ州という地域内でもすごい格差です。

今回の賃上げは、上に挙げていた通り

“県・市別”で賃上げするかしないかの決定が委ねられていました。

ではこの西ジャワ州内の2021年度最低賃金を見てみましょう。

 

カラワン県
 Rp. 4,798,312
ブカシ市
 Rp. 4,782,935
ブカシ県
 Rp. 4,791,843
デポック市
 Rp. 4,339,514
ボゴール市
 Rp. 4,169,806
ボゴール県
 Rp. 4,217,206
プルワカルタ県
 Rp. 4,173,568
バンドゥン市
 Rp. 3,742,276
西バンドゥン県
 Rp. 3,248,283
スメダン県
 Rp. 3,241,929
バンドゥン県
 Rp. 3,241,929
チマヒ市
 Rp. 3,241,929
スカブミ県
 Rp. 3,125,444
スバン県
 Rp. 3,064,218
チアンジュール県
 Rp. 2,534,798
スカブミ市
 Rp. 2,530,182
インドラマユ県
 Rp. 2,373,073
タシクマラヤ市
 Rp. 2,251,787
タシクマラヤ県
 Rp. 2,251,787
チレボン市
 Rp. 2,271,201
チレボン県
 Rp. 2,269,556
ガルット県
 Rp. 1,961,085
マジャレンカ県
 Rp. 2,009,000
クニンガン県
 Rp. 1,882,642
チアミス県
 Rp. 1,880,654
パンガンダラン県
 Rp. 1,860,591
バンジャール市
 Rp. 1,831,884
 

と合計27地域が集まって“西ジャワ州”となっています。

州内でも有数の工業団地を抱えるカラワン県やブカシ県と

バンジャール市の最低賃金の差なんと

Rp. 2,900,000(約21,000円)超!

こう見ると一言に“西ジャワ州”と言っても

ひとまとめに出来るような地域差ではないんですね。

そしてこのカラワン県、ブカシ県には

我らが日系企業が多く拠点を構えています。

なかでもやっぱり特筆すべきは

日の丸製造業の要である二輪・四輪産業ですね。

こういった製造業は労働集約型産業ですので

大量の労働力が必要となり支出に占める人件費の割合もなかなか。

そうなると1人当たりで見たら少額に見えても

全従業員で見た場合に驚く程コストが嵩んでしまう。

そうなると企業は他の国に目を向けてしまうのは当然のこと。

 

でもきっとインドネシア政府は

「撤退するより安く済むんだから甘受しろよ。

じゃ今後も納税と雇用よろしくな」

ってなスタンスなんでしょう。

上手くいけば賃金の安い地方に拠点を移動してくれるかもしれないし。

最悪、国外に出ていかれなければいいやくらいの感じでは。

新しく進出してくる企業にはオムニバス法の恩恵を与えながら

最初からまだ賃金の安い地方への進出を促す。

 

インドネシア政府の対応は

雇用を増やしたいし

地域格差を減らしたいし

外資を呼びたいし

大きい企業には出ていってほしくないし

Etc…

という一石二鳥どころか三鳥も四鳥も狙っているような気がしてならない。

良く言えば非常に狡猾に外資企業を利用しているともいえる。

(良く言ってない?)